(2023年3月2日更新)
皆様、おはようございます。
本日ここに、令和5年3月市議会定例会が開催されるにあたり、市政運営に臨む私の姿勢と所信の一端を申し上げますとともに、令和5年度の当初予算案と重点施策など、その概要をご説明申し上げます。
新型コロナウイルス感染症が国内で確認されてから3年が経過し、私たちの生活習慣や価値観、社会経済は大きく変化しました。また、昨年のロシアによるウクライナ侵攻の影響は、更なる社会不安と物価高騰をもたらしています。市としては、市内外の医療機関とも連携したワクチン接種体制の強化など感染拡大防止に努め、プレミアム付商品券の発行や見附応援商品券の配布をはじめ給食費や副食費の3か月無償化など、市民生活を支える施策を切れ目なく行いました。
今年3月からは新型コロナウイルス感染症のマスク着用要件が緩和され、5月には5類感染症へ移行が予定されるなど、社会の正常化に向けた大きな節目を迎えます。昨今の社会状況を注視しながらも、複雑・多様化する行政課題や市民ニーズへの対応を進める必要があります。市民の皆様が日々の安心や明るい未来への夢と希望を持てるよう、必要な施策を見極めながら着実に市政に取り組み、「誰もが暮らし満足No.1」だと思えるまちづくりを進めます。
来年度の施策の基本方針としては、まず人口減少という「待ったなし」の課題に対して、特に若者や子育て世帯、働き盛りの世代が「住み続けたい、戻ってきたい、新たに住みたい」と思えるまちとなるようにする必要があると考えます。このため、魅力的な産業や職場、住宅環境、子育て環境を作り上げていきます。同時に、少子高齢化に対応して、地域医療や防災強化など、市民の力を活かしながら、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて取り組みます。そのためには、新年度もその実現に向けた新たな事業や施策を進めるとともに、既存施策の徹底的な見直しや、歳入確保の取り組みも着実に実行していく必要があります。
この1年間、市民の皆様とは「ふれあい懇談会」などを通じて施策の内容をお伝えしながら、一人ひとり皆様と丁寧に意見を交わしてきました。議会でも議員の皆様と真剣に議論を重ねていったほか、市役所内では横断的施策の検討体制を構築し、地域や時代のニーズを捉えた施策をいかに打ち出せるか、職員とともに議論してきました。ボトムアップによる施策提案を求めてきた中で、まとめあげた集大成が、今議会に提出する新年度予算案となります。
新年度の一般会計予算は、総額174億2,000万円となりました。これは前年度に比べて1億3,000万円、0.75%の増となります。歳入では、臨時財政対策債の減少などにより市債が約2億9,100万円、法人市民税の減少などにより市税が約1億9,200万円の減となるものの、地方交付税が普通交付税の増額などにより約5億1,400万円の増額となりました。
また、4特別会計の合計は86億1,200万円で、前年度比2億1,900万円、2.6%の増、3公営企業会計の合計は83億1,900万円となり、前年度比1,200万円、0.14%の減となっています。
それでは、新年度の重点施策につきまして、「暮らし満足No.1のまち」の実現に向けて重要となる7つの考え方をもとにご説明申し上げます。
1つ目は、『まちと産業』についてです。
見附の立地や産業の特性、最近の世相を捉えながら、特に働き盛りの若い世代や子育て世代が見附で住める、働ける、稼げる環境づくりを進めていきます。
まちや産業を元気にする体制と交流の強化としては、まずは令和4年度から登用している地域力創造アドバイザーを継続するとともに、知見やノウハウと実践力を併せ持つ外部専門家や課題解決の実行を担う地域おこし協力隊を活用する組織を立ち上げ、地域課題解決ソーシャルベンチャー事業として、市内ですでに活躍されている団体や関係者とも連携しながら、地域の魅力向上や地域課題の解決に取り組みます。また、企画調整課が主導していたソーシャルベンチャー事業のほか、移住や関係人口拡大などの取り組みを地域経済課に集約して、産業振興や交流促進の取り組みなどと一体的に実施することで、地域経済政策を効率的に進める体制を整えます。さらに、商工農の異業種間の交流や、農業関係機関の合同交流会、スポーツ誘致に関わる方々の連携・交流の場をつくり、活性化に向けた議論を深めていきます。
産業界の新たなチャレンジに対する支援としては、昨年、コロナ禍で影響を受けた地域経済の下支えとして行った「新たな取り組みチャレンジ事業者応援補助」をポストコロナにおいても重要と考え、通常予算として継続します。ニット産業については、引き続きМITSUKE KNITブランド支援を行うとともに、地域力創造アドバイザーやソーシャルベンチャー事業による後押しを検討していきます。農業分野としては、「にらの1億円産地化」を目指し、新潟県やJAえちご中越と一体となった市場開拓と生産体制の強化を図ります。また、農業やニット等のみつけ産品輸出促進に向けた第一歩として、JETRO新潟への職員派遣も行います。
見附で働く仕組みの構築と強化としては、人材確保に向けて学生のインターンシップに取り組む事業者を支援するほか、ソーシャルベンチャー事業の一環として起業や移住相談窓口を設置してまいります。さらに、農業分野における将来の担い手や農地利用の姿を明確化する地域計画策定に着手するほか、新たな働き方に対応したコワーキングスペース確保の必要性などについて検討していきます。
加えて、地元での起業・創業をはじめ、チャレンジを身近に感じて積極的に行動できる人材を子どもの頃から育成するため、市内の小中学校において、出店体験、新商品開発体験などの起業家教育を推進します。
交流人口や関係人口の拡大促進としては、交流を産業振興や関係人口の拡大につなげるため、「短期雇用支援サイト」を活用し、県外から意欲のある若者を受け入れる事業者への支援を始めます。見附さぽーた制度についても、さらなる有効活用や発信力強化により交流人口や関係人口の拡大につなげるほか、長野・新潟ガーデンロードに協賛する他市の庭園施設との連携や情報発信を強化していきます。
若者や子育て世帯などを呼び込む都市環境の確保としては、見附駅東口駅前広場の整備に取り組むほか、ウエルネスタウンみつけにおける高機能な住宅建設への補助を継続して販売促進につなげます。また、見附で住める・働ける環境づくりとして、住宅用地の確保や企業誘致推進に向けた今後の住宅施策や都市施策について、新たに設置する都市環境課を中心に、関係課と連携して検討・研究を進めます。
2つ目は、『こどもと子育て』についてです。
令和4年度は、葛巻地区における放課後児童クラブの新設や、病児・病後児・一時保育支援、不妊治療費助成の拡充、子どもの居場所の整備などに取り組みましたが、行政や企業、地域が一体となってさらに体制を強化し、「子育てするならやっぱり見附」を目指します。
働きながら育てられる環境の整備としては、保護者のニーズに対応した児童の受け皿を確保するため、老朽化が進んだ「見附みどりこども園」の建て替えを令和4年度から継続して実施するほか、新設予定の「(仮称)見附どろんこ保育園」新築に対して支援を行います。
また、市内の多くの企業に子育てしやすい職場づくりを進めていただくための支援として、事業所の就業規則における育児休暇の規定の有無など、新潟県が行っているハッピーパートナー企業パパ・ママ子育て応援プラスに認定された企業に対し、奨励金の交付や実際に育児休業を取得させた場合の助成を行うほか、認定企業に対しては、既存の設備投資補助に上乗せを行います。さらに、働きながら育てられる環境づくりに対する企業への理解醸成を目的とした講演会も開催します。子育てに関しては、昨年秋に実施した市民アンケートの結果でも「母親や父親の職場における子育てへの理解」が大きな課題の1つとしてあげられました。企業にとっても人材不足と言われるなかで、子育てを含めた職場環境の改善こそが産業振興にもつながり、子育て環境と職場環境の双方の観点から子育て世帯を呼び込む力になると考えています。なお見附市では、すでに県のハッピーパートナー企業の認定を受けていますが、令和5年度中にパパママ子育て応援プラスの取得を目指します。
子どもの居場所・遊び場・活動の充実としては、悪天候でも伸び伸び体を動かせる屋内施設である「子どもの居場所」を、令和5年度に供用を開始します。子どもたちが自発的に活動できるよう必要な職員を配置し、子どもたちや保護者の相談に応じられる体制をつくります。また、子育て世帯や若者たちが楽しめるように、大平森林公園のリニューアルに着手します。さらに、これまで試験的なイベントとして取り組んできた、駅交流拠点の運営と中高生を中心とした賑わい創出を本格的に進めていきます。加えて、子どもたちの活動範囲と移動手段の選択肢を拡大するため、中学生以下のコミュニティバス利用を無料にします。
子育て・出産に対する負担軽減としては、妊婦や子育て世帯に対して、要所要所で相談に応じて必要な支援につなぐ伴走型相談支援と、妊娠届時に5万円、出産届時に子ども一人当たり5万円が受け取れる経済的支援を一体的に実施します。また、出産後にかかる費用負担を軽減するため、健康診査料の助成対象を妊婦健康診査から産婦健康診査にも拡大するほか、新生児の聴覚検査費用を新たに助成します。さらに、インフルエンザ予防接種助成の対象上限を現在の小学校6年生から高校3年生までに拡大します。
取り残されることなく子どもたちが育つ環境づくりとしては、教育委員会こども課にこども家庭センターを設置し補佐級の所長を配置して妊産婦・子ども・保護者を一体的に支援します。また、子育て相談や会議などに使えるスペースを市庁舎4階に設置します。養育支援に関しては、多重な困難を抱える家庭に対応するため、専門性の高い訪問支援員による支援を追加します。加えて、ひとり親世帯が養育費を確実に受け取ることで生活の安定を図れるように、養育費の取り決めに係る公正証書作成費用等を支援します。学校教育においては、中学校の特別支援教育をより充実させるため、発達通級指導担当教員による訪問相談事業を行います。
地域が子どもたちを支える体制づくりとしては、中学生によるスポーツ活動の選択肢を確保すべく着実に部活動が地域スポーツクラブ活動に移行できるよう、指導員や用具の確保等の環境整備を支援します。また、児童生徒用パソコン端末の家庭への持ち帰りの本格実施に合わせて、放課後児童クラブによるWi-Fi環境整備を支援します。
子どもたちが安心して学べる環境づくりとしては、葛巻小学校で令和6年度に普通教室が不足することに対応して校舎を改修するほか、名木野小学校の長寿命化改良工事に向けた設計を行います。また、通園・通学時の安全・安心を確保するため、今町1号線の道路改良などにも着手するとともに、中学生の冬期スクールバスについて、学校からの距離が6キロ以上であるすべての地区が対象となるように運行体制を改善します。
3つ目は、『健幸』についてです。
地域医療体制の充実としては、令和4年度に内科や整形外科、小児科など現在または将来不足する診療科目を対象に「診療所新規開業支援補助」を拡充し、積極的な誘致活動を展開しました。これにより、新町で小児科を含む3医院が開業に向け準備を進めていますが、昨今の物価高騰を踏まえて建設費用が嵩んで厳しいとの状況をお聞きしました。このため、新年度からは補助額を上げて最大1,200万円の支援を可能とします。今後も、昨年作成した診療所誘致のパンフレットも活用して関係機関へのアプロ―チを行っていきます。
また、医療と介護の両方を必要とする高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、令和5年度からケアマネジャーなどの支援者のための相談窓口を見附市立病院内に設置し、医療との連携を図っていきます。さらに、人工透析通院者のニーズに応えるため、人工透析福祉デマンドタクシーの運行を増便します。
健康増進施策の充実としては、後期高齢者に対する人間ドック費用を新たに助成対象とし、受診率の向上による健康増進へつなげていくほか、「いきいき健康運動教室」や「健幸ポイント制度」を継続し、市民の健康増進や運動習慣の定着も図っていきます。
誰も取り残されない社会の実現としては、犯罪行為で死亡した人の遺族や重傷病を負った人へ見舞金を支給する犯罪被害者救済制度を創設します。また、高齢、障害、子ども、生活困窮といった枠組みを超えて一体的な相談支援を行う「重層的支援体制整備事業」を継続し、具体的な案件について令和4年度に新たに構築した体制で検討しつつ、訪問相談や活動への参加支援を実施していきます。
脱炭素社会など環境問題への取り組みとしては、令和5年度に整備する見附駅東口駅前広場の舗道の一部に、地中熱を利用した融雪システムを導入いたします。また、将来を見据え、次期最終処分場の基本計画策定に着手します。
4つ目は、『暮らしの安心・安全』についてです。
全国的に激甚化する近年の自然災害を踏まえ、令和4年度は例年実施している防災訓練に加え、要援護者に対する訓練や、職員を対象にした地震時初動訓練を実施しました。今後とも自然災害にとどまらず、あらゆる危機への対応力を強化し、事前の備えを着実に進めていく必要があります。
災害への備えの充実としては、4年ぶりに住民参加の全市一斉訓練を再開するほか、地震、原子力、武力攻撃などあらゆる事態への備えの強化や訓練を実施します。要援護者への避難対応については、避難経路を含む個別避難計画について訓練を通じて検証しながら、引き続き介護支援専門員などの福祉専門職と連携して作成してまいります。また、緊急時の情報発信については、民間気象会社などから災害につながる各種情報を入手していますが、メールに加えて電話の自動架電やSNSとの連携といった複数の手段を同時に発信できるようなシステムを導入します。さらに、地域コミュニティとも連携して、市民による緊急情報メール登録やマイ・タイムライン作成を促進します。
ハード面での防災対策としては、水道管及び下水処理場などの耐震化を進めるほか、高まる豪雨災害リスクに備えて浸水被害を軽減するための排水路改良を行います。また、貝喰川大規模河川改修の早期完成に向けて、埋蔵文化財発掘調査が速やかに進むよう当該調査に係る職員体制を強化したところであり、今後新潟県に働きかけつつ事業を進めていきます。
消防力の維持充実としては、消防職員を増員するほか、車両・資機材の老朽化が著しい消防ポンプ自動車の更新を実施します。また、消防団員数を適正化しつつ、出動報酬を大幅に改善するとともにイメージアップ策の検討を進め、団員確保活動の強化に取り組みます。
施設やインフラの安全対策強化としては、保健福祉センターの屋上防水や、市民プールのろ過装置の更新などを行います。また、現行の計画期間が終了する公営住宅等長寿命化計画を改定して、予防保全的な管理やライフサイクルコストの削減を図ります。
5つ目は『市民の皆様に寄り添う』についてです。
令和4年度は、市民の皆様との対話の場である「ふれあい懇談会」の開催や、市民生活課への市民相談窓口の設置、広報みつけのQ&Aコーナー、緊急情報メールを活用した防災情報の積極的発信などの取り組みを行ってきました。
市民の皆様との対話の充実としては、市の考えを市民の皆様に理解してもらうとともに、皆様のご意見をいただく大変貴重な場となっている「ふれあい懇談会」について、やり方を工夫しながら、引き続き継続していきます。
また、今後特に市民の皆様の声を聞かなければならないテーマが、学校施設配置などの教育環境です。小学校としては、小規模校である「みつば3校」が特色ある取り組みで評価を受ける一方、これまで開催したふれあい懇談会の場において、小規模校に子どもを通わせる保護者の方から不安の声を聞くことがありました。中学校としては、市内2校がまもなく長寿命化大規模改修を行う時期を迎えます。このような背景のもと、今後は一部の学校や地域のみならず、市全域での目指すべき教育環境を検討するにあたり、子育て世代を中心に市民の皆様の声を広く聞くタウンミーティングを開催します。
市民の皆様に伝わる広報の強化としては、昨年11月に策定した広報戦略に基づいて取り組みます。市のホームページについては、多様化するICT技術をもとに再構築を行い、緊急時の対応やアクセシビリティ強化も含め、誰もが便利で分かりやすく、目的の項目が探しやすいホームページに更新します。また、より市民が手軽に情報を入手できるようLINEを利用したプッシュ型配信を行っていきます。さらに、私が就任してから定例化した記者会見については、月1回に頻度を上げてタイムリーな発信を行うほか、戦略的かつきめ細やかな情報発信を行うため、令和5年度より広報戦略を担当する秘書広報室長を企画調整課に配置します。
ICTを活用した市民サービス向上としては、今年度から各種手続きの面倒な手書き書類をなくす「書かない窓口」を開始しましたが、新しくできる市民税務課を中心に各課連携を図りながら、より市民に寄り添った窓口を目指して必要に応じて運用の改善を図ります。また、パソコンやスマートフォンからコミュニティバスの位置が確認できる「バスナビゲーションシステム」を改善し、バスの位置を地図上で確認できるようにします。
6つ目は、『力の結集』についてです。
地域コミュニティの活性化としては、令和4年度に地域の高齢者などの貴重な足となるコミュニティワゴンの市街地内停車場所の拡大について調整したほか、新潟県地域づくりサポートチームによる支援との連携も始まりました。令和5年度は、地域課題の解決に向けた積極的な取組みを後押しするため、これまでのふるさとづくり活動交付金に提案型の「チャレンジ枠」を導入します。また、コミュニティワゴンのさらなる活用や、嘱託員をはじめとする地域に関わる関係者との課題共有、公民館との連携強化や効率化などについて検討を進めていきます。なお、令和5年度から、嘱託員に関する業務の担当をまちづくり課に移管して、これまでも担務している地域コミュニティとの連携や改善策について検討してまいります。
見附の強みである市民活動としては、新型コロナウイルスの影響により休止していたベトナム・ダナン市との交流事業の再開を検討するために訪問団を派遣するほか、市民の国際理解を深める講座などを開催し、国際交流活動を支援します。また、悠々ライフやフードバンクなどの市民活動に関する持続可能な体制や支援のあり方についても検討してまいります。
市役所の組織力・職員力としては、令和5年度から組織体制を大きく見直します。その最大のポイントと考えているのが企画調整課のスリム化です。個別事業案件をできるだけ切り離して総合的な施策の企画立案や全庁的な調整機能に注力できるようにします。また、職員力強化も必要で、総務課に人材育成推進室長を新たに配置します。育成方針の見直しや研修の強化、自己啓発の後押し、他自治体との交流などを検討するほか、新規採用活動の強化策として、私自身や幹部職員による大学訪問などの活動を行いたいと考えています。
7つ目は、『行財政の検証と見直し』についてです。
将来的な財政見通しが厳しい中、社会経済状況やニーズの変化などを踏まえた新たな課題解決に取り組むためには、歳入確保や既存事業及び補助などの見直しが必要です。
これまでも、見附駅の自由通路の検討の進捗状況を記者会見で、耳取遺跡事業の概算事業費については整備検討委員会の場で公表したほか、庁内横断的検討などにより歳入・歳出の両面にわたって検証や見直しの議論を重ねてきました。
大型事業の検証としては、見附駅自由通路整備事業について様々な角度からの検討・検証を行い、関係者との協議なども踏まえ、来年度のできるだけ早い段階に検討成果の公表を目指します。耳取遺跡保存活用事業については、令和5年度、市民の暮らしの安全安心に直結する貝喰川大規模河川改修事業に係る埋蔵文化財発掘調査を優先させることとし、並行して継続的に今後の事業のあり方を検証していきます。
既存事業の見直しとしては、令和5年度予算において、政策意義や必要性の低下などの観点から、スマートウエルネス関連業務のうち市民サービスへの影響がないコンサル業務の縮小のほか、地域コミュニティ交付金や見附市老人いこいの家今町荘の運営の適正化、商店街エリアマネージャーの廃止、下水道使用料の値上げなどによる事業会計への繰出金適正化など、いくつかの事業について廃止や縮小・適正化を行いました。令和5年度も引き続き「中長期財政計画」を踏まえ、今後の財政運営に向けて、公共施設やその運営方法などの最適化も含め、さらなる検証や見直しを徹底的に進めていきます。
収入増加に向けた取り組みとしては、歳入面では、ふるさと納税について地域力創造事業により官民が連携して魅力的な返礼品の掘り起こしや開発などを行い、寄附額増加に向けた取り組みを進めます。このほか「デジタル田園都市国家構想交付金」をはじめとした国県の補助金、クラウドファンディングや子どもの居場所備品への活用を想定した企業版ふるさと納税、イングリッシュガーデン協力金や使用料収入の見直しなどにより財源の確保を図ります。
以上、「暮らし満足No.1のまち」実現に向けて重要となる7つの考え方を中心に、令和5年度見附市が取り組もうと考える主な施策について、その概要を申し上げました。7つとも大切ですが、人口減少抑制など将来の見附を見据え、1つ目の「まちと産業」と2つ目の「子どもと子育て」をより重視した形となっています。中でも子育て支援については、国や県も少子化対策に本腰で取り組もうとしているなか、人口の社会増やまちや産業の活性化にもつながり、そのことが高齢者も含めた全世代の暮らし満足No.1につながるものと考えています。このため、子どもの保護者や行政はもちろんのこと、企業、地域がみんなで子育てを支えていくことについて、市民の皆様と考えを共有し、市外にも広くアピールしてはどうでしょうか。そのことを形にするため、令和5年度中を目途に「子ども子育て条例」を制定できないか検討してまいります。
市長就任以来、地域コミュニティや子育て世帯、高校生など、様々な市民の皆様と顔を合わせ、日頃感じている課題やまちづくりへの思いを伺ってきました。市民の皆様の声、あるいは代弁している議員の皆様からの声を市職員とともにしっかり聞き、市職員から提案された施策を一緒に考えながら判断する「ボトムアップ行政」こそ、私の市政運営の「カラー」であり、一番に考えていることです。
そのためには、「ふれあい懇談会」による市民とのコミュニケーションはもちろんですが、将来の見附を見据え、日々の業務改善や業務提案を行える市職員の育成を含めた持続可能な組織づくりも大変重要であり、これまでも試行錯誤しながら取り組んでいます。新年度の機構改革もその一環ですが、まだこれからです。こういった見附市の組織づくり・人づくりを着実に進めながら、市民の皆様とともに、誰もが「暮らし満足No.1」と思えるまちづくりに、全身全霊で取り組んでまいります。
以上、令和5年度の市政運営に臨むにあたり、私の所信と基本方針を申し上げました。市民の皆様と議員各位のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。ご清聴、ありがとうございました。