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開発許可 -開発許可手続きのしかた-
まちなみを形作るのが建築物の集合ならば、その支えとなっている宅地はまちの基礎に相当します。この基礎を生みだす宅地造成を適切に審査し、良質な宅地の供給を促進することで都市の健全な発展を図ろうとするのが都市計画法の規定による開発許可制度です。無秩序で乱雑な造成による住環境の悪化等を防止し、都市基盤整備の効率化を促進します。
ここでは、開発行為を行なう際に必要となる手続きについて説明します。申請にあたって留意すべき点は多岐にわたります。事前に確認しましょう。
開発許可が必要となるもの
開発行為の目的、位置、規模等によって開発許可手続の要否は異なります。どんな行為が開発許可制度の適用対象となるのか確認しましょう。
申請手続は、おおまかに、開発許可(都法29条)と市街化調整区域における建築許可(都法43条)の2つに大別されます。開発行為の該当用件及び手続が必要となる規模を以下に例示します。
開発行為とは
建築物の建築又は特定工作物の建設を目的として行う土地の区画形質の変更をいいます。以下のような行為が代表的です。(都法第4条第12項)
宅地を分割又は合体する(「区画」の変更)
既存の宅地に道路、水路、塀、垣、さく等といった敷地の区画を明示する要因を新設、廃止、変更する場合です。同一の敷地内における単なる分合筆や権利分割等の形式的な変更は含みません。
新たな宅地を造成する(「形」の変更)
田を埋め立てて宅地化する、傾斜地に切土を行うといった造成工事よって新たに敷地を創出する場合です。また、従来からの宅地で行う行為のうち擁壁を用いて1m以上の盛土を行うもの及び切土により2m以上のがけを生じさせるものもこれにあたります。
地目を宅地に変更する(「質」の変更)
表土の形状を変更せず、登記簿の地目を変更するような、宅地以外の土地を資質上宅地に変更する場合です。宅地化は土地の状態によっては、物理的な変更を必ずしも必要とするわけではありません。法規解釈上最も注意が必要な変更のひとつです。
※建築物の建築や特定工作物の建設を目的としないいわゆる青空駐車場や資材置場等の創出等は開発行為に該当しません。ただし、これらの目的で造成が行われた土地に、相当期間が経過した後に建築等を行おうとするものは開発行為に該当することとなります。
開発許可手続きが必要なもの(都法29条・43条各号に該当しないもの)
1.規模(都法29条1項1号)
開発行為が、下表の区域に応じて定められた規模を超えるものである場合に開発許可又は建築許可が必要となります。
敷地の所在する区域 |
許可を要する規模及び行為の種類 |
|
---|---|---|
都市計画区域外 | 10,000平方メートル以上の開発行為 | |
都市計画区域内 | 市街化区域 | 1,000平方メートル以上の開発行為 |
市街化調整区域 | 法令で許可不要とされたものを除いて、原則として全ての開発行為及び建築行為 |
2.用途
開発行為の規模、所在にかかわらず、下表のいずれかに該当するものの建築を目的とした開発行為は許可を要しません。
予定建築物等 |
例 |
該当条文 |
---|---|---|
農林漁業用の建築物又はこれらの業務に従事する者の住宅 | 農舎、畜舎、育種苗施設、温室、農林漁業者住宅等 | 都法29条1項2号 |
公益上必要な建築物 | 駅舎、図書館、公民館、変電所等 | 都法29条1項3号 |
国、県、開発許可権者が行なう開発行為 | 国、地方公共団体又はこれに準ずる公的団体が行なうもの | 都法29条1項4号 都法43条1項1号 |
非常災害のため必要な応急措置として行なう開発行為 | 応急仮設住宅等 | 都法29条1項10号 都法43条1項2号 |
仮設建築物 | 工事現場における設置期間が限られた現場事務所等 | 都法43条1項3号 |
通常の管理行為、軽易な行為 | 一定の規模未満の付属家、極小規模の増改築等 | 都法29条1項11号 都法43条1項5号 |
つまり、上記1.の表の規模を超え、かつ、2.の表のいずれにも該当しない場合が開発許可手続きを必要とするものとなります。
開発許可の基準
開発許可を受けようとする場合には、開発計画に係る設計が技術基準(都法33条)に適合するものでなくてはなりません。開発行為の規模、用途等に応じて異なる基準が定められています。また、開発区域が市街化調整区域にあるときは立地基準(都法34条)の適用も受けることになります。
開発許可の技術基準(都法33条)
開発行為の技術基準は都法33条及び関係政省令によって定められています。また、これによるほか、見附市開発行為指導要綱によって細目や運用基準が定められており、これらの基準を遵守しなければ開発許可を受けることはできません。また、開発者の負担において公共施設等の整備が必要となる場合も多くあります。
開発行為は、開発区域内の土地のみならず、その周辺の土地や地域全体に影響を及ぼす要因となることから、開発行為を行なうにあたっては、利害関係者や公共施設管理者等といった関係者との十分な事前協議が必要となることに留意してください。
都法33条技術基準一覧(抜粋)
法33条該当号 |
技術項目 |
細目 |
適用 |
---|---|---|---|
1 |
用途地域等との整合 | 用途地域の建築制限に整合するもの | 建法48条 |
2 |
道路の確保等 | 開発区域内の道路は、都市計画道路があるときはこれに整合し、かつ、適当な幅員を確保し、適切に配置されていること | 都令25条1号・2号 |
開発区域内の道路は、開発区域外の幅員9m以上(住宅6.5m以上)の道路に接続し、有効に機能すること | 都令25条4号 | ||
開発区域内の幅員9m以上の道路は歩車道分離 | 都令25条5号 | ||
円滑な交通を確保する舗装、横断勾配 | 都規則24条1号 | ||
隅切り、雨水排水施設の設置 | 都規則24条2号 | ||
道路の縦断勾配は9%以下(小区間に限り12%可) | 都規則24条3号 | ||
原則として、階段状でないこと | 都規則20条4号 | ||
原則として、袋路状でないこと | 都規則20条5号 | ||
公園の確保等 | 公園、緑地、広場等3%以上 | 都令25条6号・7号 都規則25条 |
|
消防水利の確保等 | 消防法20条1項による基準を満たす防火水槽、消火栓、自然水利等の確保 | 都令25条8号 | |
3 |
排水施設 | 5年確率による降雨強度値の算定(必要により調整能力の保持) | 都令26条1号・2号 都規則22条・26条 |
管渠の内径200mm以上 | 都規則26条4号 | ||
雨水桝の泥溜深150mm以上、その他桝は有効なインバート打設 | 都規則26条6号 | ||
放流先管理者との協議 | |||
4 |
給水施設 | 水道事業者との協議 | |
5 |
地区計画の適合 | 地区計画との完全整合 | |
6 |
公益的施設等 | 開発規模に応じた(20ヘクタール以上)公益的施設等の適切な配置 | 都令27条 |
7 |
盛土・切土 | 地盤に対する措置、がけ面、法面等の保護の適正化 | 都令28条 |
盛土高さ1m超、切土高さ2m超及び切盛高低差2m越は擁壁設置 | 都規則23条1項 | ||
擁壁設置時以外は安定計算 | |||
擁壁 | 擁壁構造の安全計算 | 都規則27条1項 | |
高さ2m超の擁壁は建令142条の規定を準用 | 都規則27条2項 | ||
8 |
危険区域の除外 | 開発行為に不適当な区域の明示・除外等の指導 (建法39条1項の災害危険区域、地防法3条1項の地すべり防止区域、土災防法8条1項の土砂災害特別警戒区域、急傾防法3条1項の急傾斜地崩壊危険区域をいう) |
都令23条の2 |
9 |
樹木・表土の保全 | 1ヘクタール以上の開発行為に対する環境様態に応じた保全措置等 | 都令23条の3・28条の2 都規則23条の2 |
10 |
緩衝帯の設置 | 1ヘクタール以上の開発のうち、環境悪化を招くおそれがある開発行為は緑地帯、緩衝帯を設置 | 都令23条の4 |
1ヘクタール≦開発面積<1.5ヘクタール →幅員4m以上 1.5ヘクタール≦開発面積<5ヘクタール →幅員5m以上 5ヘクタール≦開発面積<15ヘクタール →幅員10m以上 |
都令28条の3 都規則23条の3 |
||
11 |
輸送施設 | 40ヘクタール以上の開発行為では道路鉄道等の輸送の便を考慮 | 都令24条 |
12 |
申請者の資力信用 | 自己居住用の開発行為及び1ヘクタール未満の自己業務用の開発行為以外の申請には登記簿謄本、自己資本、融資証明等を添付 | 都令24条の2 |
13 |
工事施行者の能力 | 自己居住用の開発行為及び1ヘクタール未満の自己業務用の開発行為以外の申請には登記簿謄本、事業経歴書、建設業許可証等 | 都令24条の3 |
14 |
関係権利者の同意 | 開発区域内における工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意 | |
見附市開発指導要綱・技術基準[PDFファイル/871KB] | 都令25条から28条まで、都規則20条から27条までの規定を補完するために、技術基準の詳細を定めた要綱・技術基準です。各開発行為個別に協議を行い、適正な指導に努めています。指導要綱・技術基準の冊子も市役所の窓口にて配布いたしております。 なお、開発行為の設計を行なう際には、開発許可制度関係法令、指導要綱のほかに新潟県河川流域開発審査指導要綱及び調整池設置基準、新潟県土木部標準設計、見附市標準設計を参照し、これらの基準によるものとしてください。 |
※都市計画法、都市計画法施行令、見附市都市計画法施行条例は例規のページからご覧になれます。必要に応じてご確認ください。
許可申請の流れ
開発許可制度による申請手続きは、申請者本人が専門の知識を有する場合以外には、専門家である行政書士が行うこととなります。開発行為が完了するまでの大まかな手続きは以下のようになります。手続きに要する期間は条例によって定められていますが、これは事前協議に要する期間が含まれていません。開発計画は常に個別的な協議が必要となるので、申請に至るまでの協議が重要であり、かつ、日数を要することを覚えておいてください。また、都市計画法以外の法律に関する事前手続きが必要な場合には、更に綿密な調整が必要となります。
開発許可申請の流れ[PDFファイル/90KB]